2008/04/02

RHCS: iSCSI, DM-MP, CLVM and GFS・その9・考察

これまで、iSCSIを用いて二本の経路で共有されたブロックデバイスをCLVMで論理ボリュームとして扱い、その論理ボリュームをGFS2でフォーマットし、マウントする手順について述べた。この構成では、iSCSIターゲット=イニシエータ間のパスが複数存在するので、この間の接続が信頼性の急所(single point of failure)にならない。ここまでは、『その1・概要』および『その5・Device-Mapper Multipathの設定』で述べた通り。

ただし、今回の構成には、問題点がある。
  • クラスタcDomUsのメンバ、dc[123]が仮想マシンフェンス(XVMフェンス)された場合、システム起動されても、iSCSIの接続は復旧しない。この場合、VGcDomUs00やLVGFS00は認識されず、GFS2ファイルシステムはマウントされない。
  • iSCSIターゲット=イニシエータ間のパスが何らかの不具合で一時的に切断された場合、その後障害が復旧しても、当該パスは自動的に復旧しない。
iSCSIターゲット用RPMパッケージscsi-target-utilsの不具合によるものだ。この不具合は、『その4・iSCSIイニシエータの設定』で以下の通り述べた。
ターゲット側で使用するscsi-target-utilsで提供されるサービスtgtdは、同一パス・同一イニシエータ名でのセッションでの多重接続を拒否する。従って、イニシエータ側では、ユニークなイニシエータ名を使用する必要がある。
また、tgtdは、イニシエータが正常なログアウト処理を行わずに停止した場合、そのイニシエータに対するセッションを保持し続ける。このイニシエータが再起動され、ターゲットにログインしようとすると、ターゲット側には同一パス・同一イニシエータ名のセッションが残っているため、ターゲットはこのログインを拒否する。このため、このイニシエータはストレージにアクセスできなくなってしまう。
従って、少なくとも現時点では、CentOS 5をiSCSIターゲットとしたシステムでは、Device-Mapper Multipathの利点を活かしきれない。


その1・概要
その2・インストールとクラスタの構成
その3・iSCSIターゲットの設定
その4・iSCSIイニシエータの設定
その5・Device-Mapper Multipathの設定
その6・CLVMの設定
その7・GFS2の設定
その8・Congaでの設定
その9・考察

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